「悠陽ちゃんが……」
「すごく心配してたよ、キミのこと。あまりにもキミが戻ってこないから、僕と大和と宮野さんとでキミを探してたんだ」
……そんなにみんなに迷惑を掛けてしまったんだね。
「ごめんなさいっ」
私が面倒ごとに巻き込まれたせいで、心配を掛けてしまった。
もう少し、私が強かったら…もっと違う方法があったかもしれないのに。
「……っ」
ガクガクと震える身体が、結城くんの腕に包まれて落ち着いていく。
不思議だ、とっても不思議。
結城くんの腕の中は、まるでお母さんに抱かれているような安心感がある。
あんなに怖かったのに、今はこんなにも安心してる。
「なんでキミが謝るの?悪いのは僕だし、キミのことをこんなにした人でしょ」
あぁ、いつもは悪魔のくせに……
こんな時は、優しいんだ。
「キミは思い出したくないだろうけどさ、キミをここに呼び出したのは誰?」
結城くんは申し訳なさそうに、そう聞いてきた。
名前はわからない。
「いつも教室まで来てる女の子達……」
それくらいしかわからない。
「そっか、わかった」
私はそれしか言っていないのに、結城くんには心当たりがあるようで、ぎゅっと拳を固く握っていた。



