「……失礼します」
人気のない、学校の奥にある図書室。
そこは、いつだか結城くんに呼び出された北階段の近くだ。
ガラリと思いドアを開けて入ってみるけれど、人影はない。
むしろ、ちゃんと掃除されてるのかと疑いたくなるくらいホコリっぽい。
もしかしたら奥にいるかもしれない……と足を進めた時だった。
……カチャ
後ろで嫌な音がする。
これは、鍵を閉めた音。
「ま、待って……!」
ここの……この図書室はとても古くて、鍵は外からしか開かないの。
ドンドンとドアを叩いても、何も反応はないし、ドアを無理矢理開けようとも、力が弱くて開けられるはずがない。
「誰かっ」
そう叫んだ途端、廊下から響いてくる笑い声。
この声は、あの子達。
数日前に私を体育館裏に呼び出した女の子達。
「何するのよ」
「あなたが悪いのよ?私たちはちゃんと忠告したのに。さぁ、こんな奥にある使われていない図書室に助けが来るかしらね?」
甲高い声で笑うその声は、だんだんと遠ざかっていく。



