私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?

そう言って笑顔になる弘人。



恋は「ふーん。そっか!」と言って笑っていた。



すると隣にいた大樹が恋の手を取って、弘人に話しかける。



「俺は大樹。呼び捨てでいいよ。」



なんかいつもより素っ気なく言う大樹。



もしかして、ふたりが喋ってるの見てヤキモチとか?



・・・・・・・ありえるかも。



・・・・・・・そんなに、恋のことが好きなんだな。



「俺たちあっちで見てるから、志帆は話してていいよ。」



そう言って恋と2人で体育館の奥の方に行ってしまった。



入口付近にいた私達は壁に背中を付けて練習を見ていた。



「さっき、俺変なことしたかな?なんか、睨まれた感じするんだけど。」



ちょっと悲しそうな顔をする弘人。



「ううん。あれは、多分・・・・・・ヤキモチだから。」



自分で言って、胸が痛い。



「ヤキモチ?」



「うん。・・・・・大樹、恋のことが好きだから。その、弘人と話しているのを見てヤキモチ焼いたんじゃないかなって。だから、弘人が気にすることじゃないよ。」



また、胸が痛む。



頭では分かっていても、思い通りにいかない気持ち。



今の大樹の行動を見て、傷ついてるはずなのに、好きなことをやめられない。



「・・・・・・そうなんだ。3人って仲いいの?」



「うん。中学からずっと同じクラスで、いつも一緒だった。部活もね。」



「そっか。志帆はバレー続けるの?」



「まだ迷ってる。今も。この練習についていけるか不安だし、ちゃんとやれるのかなって。」



さっきから見ている練習は結構ハードで、私に出来るのかが不安になっていた。