「ごめん。辛いこと思い出させた。」



そう言って、俺から離れる志帆。



逆に気ぃ使わせたかな。



「ううん。自分で言ったからいいんだよ。ただ、・・・・・・・俺の前から消えていくのだけはやめて欲しい。辛くなったら言ってほしい。そしたら俺が、出来ることで助けるから。」



父さんには何も出来なかった俺だけど、今はあの時より成長してる。



あの時出来なかった分も、志帆を支えてやりたい。




「・・・・・・・弘人は強いね。・・・・・ありがとう。何もかも。」




「うん。・・・よし、涙止まった?」



「うん。止まった!私ちゃんと早く治すように頑張る!!」




そう言って笑う志帆はさっきより顔色が良くなっている気がする。




「おぅ。頑張れ!って言うか、外真っ暗だな。」




志帆のお母さんが後で来るって言ったけど、まだかな?




俺は帰り遅いって言ったからいいんだけど。



「ごめんね?弘人。帰るの遅くなって。」



「いや、志帆のお母さんに頼まれたしいいんだけどさ。何か連絡来てない?」



テレビの横に志帆のスマホが置いてあった。



多分、志帆のお母さんが置いてってくれたんだと思う。



「あっ、来てた!・・・・えっと、おばあちゃんがぎっくり腰になったので、行けなくなっちゃいました。今度お礼するので、弘人君ごめんなさい。志帆のことお願いします。だって。」



「マジか!?」



「ごめんねー、弘人。私は1人で大丈夫だから、帰っていいよ。」