「─────おわったぁぁぁ...」
それからたっぷり1時間後。
私は無事課題を終わらせることに成功した。
私はモンスターに勝てたのだ!
数学の課題というモンスターに!!
私は机に突っ伏した。
疲れた...。
私が机に突っ伏してぐでっとしていると、頭に痛みが走った。
「いった!!え!?え、今のなに!?」
私は飛び起きる。
目の前には先ほどと同様、冷たい視線を向ける莉花。
そして莉花の手を見て私は察した。
恐らく莉花の鉄拳(チョップ)をくらったのだろうと。
「終わったんなら先生のところに早く出してきて。」
「は、はいぃぃぃ!!」
私はガタッと音を立てて立ち上がると、課題を手に教室から飛び出した。
怖い。怖すぎる。
今日の莉花は相当お怒りだ。
...まぁそれもそのはずなんだけど。
一緒に帰ると約束していたものの、私に課題が課せられたため、莉花は私に1時間も待たされたのだ。
そして原因はもう一つあると思われる。
それは、私の課題の半分を莉花がやった事だ。
あまりにも私が馬鹿すぎて。
「...無理してこんなとこ入るんじゃなかった」
私は走りながらポツリと呟いた。
元々私は勉強が出来なかった。
そりゃ県最下位レベルの学校までとはいかないけれど、下の中から下の上くらいだった。
でも私にはバスケがあるから勉強なんてしなくていいと思っていた。
中3でバスケを奪われ、初めて勉強した。
県の中で中の上くらいのレベルのこの高校には、莉花がいるから入った。
──────いや、本当は違う。
本当はきっと、まだバスケを諦めきれてないから。