「...マネージャー、やっぱ大変だった?」







不意に上から降ってきた声に、目線をあげる。






依月はまだ私の手を握ったままだ。







「.....うん。大変だったよ」







大変だった。






大変だったけど、それ以上に────。







「半ば強引に俺が仮マネージャーにしちゃったから、ちょっと心配だった。

やっぱ大変だよな。ごめん、無理言って。

辞めたければ俺が──────」







「依月のバカ!」







私の声が、夜の街に響く。






足を止めた私の隣で、依月の動きが止まった。







「...え、え?染谷?」






「.....確かに大変だった。マネージャーになったのも、半分くらいは依月が私にやれって言っからだよ。


けど、それだけじゃない!!


大変だったけど、それ以上に楽しかった!またバスケに関われて嬉しかったっ!!」






もうバスケに関わるのすら諦めていた。






バスケを嫌いになろうとしていた。







嫌いになれないくらい大好きだったのに。







「辞めたければ、なんて言わないで。...周りが私にやめて欲しいって言ってるんなら辞める。けど、私は辞めたくないの。」








「染谷...。」