「鈴奈...。“あの”とか言わないの。失礼でしょ。」
「先輩どうしたんですか?」
咲先輩と里依紗先輩が、鈴奈先輩を見る。
私もそんな鈴奈先輩を黙って見つめた。
「え、みんなわかんない?三好中の元キャプだよ!ほら、女バスの顧問が、“いい子見つけた”って言ってたじゃん!」
「...あぁ。確かに言ってたね。」
「言ってましたけど...その子が沙耶香ちゃん?」
“元キャプ”という言葉が、胸に刺さる。
もう私はキャプテンには戻れない。
だってもう出来ないから。
喉の奥がきゅっとして、痛い。
鼻がツンとする。
なんだろう、これ。
「...!沙耶香ちゃん!鈴奈先輩の言ってることは気にしないで!」
「え...?」
里依紗先輩が、すごくあたふたしながら私に駆け寄ってくる。
なんでそんなに...。
─────あぁ、私今泣きそうなのか。
「あ、いえ!大丈夫です!すみません...!」
ゴシゴシと目をジャージの袖で擦る。
心配かけちゃいけない。
ただでさえ迷惑をかけているのに。
「ほら、鈴が無神経なこと言うから。ほんとにごめんね?」
口角をすこし上げ、眉をハの字にして咲先輩が頭を撫でてくれる。
「うわわ!ごめんねさやちん!」
慌てて謝った鈴奈先輩に、思わず笑みがこぼれた。
「ほんとに大丈夫ですっ!...それよりさやちんってなんですか!?」
3人が私を見て固まった。
...私なにか変な事言ったかな?


