教室の扉が開いた瞬間、思わずその場にいた全員が息を飲む。




切れ長の奥二重。通った鼻筋。ミルクティー色の髪。おまけに左目の下には涙ボクロ。


日本人なはずなのに、どこかハーフのような気がしてならないその容姿と雰囲気。





「三芳風都 (ミヨシ フウト)です。よろしく」



そのハスキーな声が聞こえた瞬間、クラスの女子はほぼ全員目をハートに輝かせた。





な、んで、この人…。


そんな女子の中で、私は唯一と言っていいほど呆然と彼を見つめる。




「ちょっと、かっこよくない!?あれが彩葉の婚約者って本当っ?」


前の席から振り返って光里がそう聞いてきても、私はコクリと頷くことしかできなかった。




私が驚いてるのはその容姿ではなく、名前。



海外でも有名な大手ファッションブランド "three mellow" の御曹司、三芳風都。




知らないわけがない。


三芳財閥の人にはパーティーで何度か会ったことがあるのだから。




ただ、彼には会うどころか見るのすら初めて。


ずっと海外にいたと聞いていたから、名前だけは知っていた。





私はどうやら、とんでもない方の婚約者になってしまったらしい。