「後悔だけはして欲しくないんだ。彩葉にも、椎名にも。もし周りが望まない道を選びたくなったとしても、それでも俺は応援する」

「……」



絶対的な信頼を誇っている目。



あえて返事はしなかった。


しなくても、俺の決断は伝わっていそうだったから。




司様は俺の肩をポンと叩くと「明日、よろしくな」とだけ言って部屋を出て行ってしまった。



明日は司様の麗美様の結婚パーティーだ。



そこにはきっと、彩葉の婚約者である三芳も参加する。




「…いいのか、本当に」


自問したところで、答えが返ってくるわけがない。


まだ許されたわけでもないし、何より彩葉と距離を離したのは俺自身が原因だ。




でも。それでも。


やるだけやるのもありじゃないかと思えてくる。



それは、今の司様の言葉のおかげ。




少しだけ進んでみようか。



口にできないこの感情を、まずは行動で示してみようと思う。