「想い伝える気、ないのか?」



司様の静かな声が尋ねてくる。



伝えたくても、それは許されたことではない。


彩葉は俺を好きだと言ってくれている。



もし。本当にもしもだけどそれで応えてくれるようなことになったら、彩葉の立場がないだろう。




皆月家とは、それほどまでに大きなグループなんだ。





「無理、ですね」

「…それは、彩葉の立場を想って?」

「すみません、これ以上は言えないです」



司様の質問には答えられなかった。



彩葉の立場を想ってだなんて、そんな大それたことは思っていない。



ただ、彩葉にとっては俺より三芳とくっつく方が妥当だと思うだけ。


まぁ、その頭と気持ちとが伴ってないから説得力はないけど。




「じゃあ、1つだけ言わせてくれ」



これ以上答えられないと言った俺に、司様は真剣な目を向けた。



皆月家次期当主というよりは、1人の妹の兄として。