「景臣先輩がこの世で出来ない事は、壊れた器を治す事だって言ったのも……」

「……記憶を失った雅臣の事だ」


景臣先輩の言葉に、私はやっぱりと思った。

例えにしては説得力があった。

それが経験談からきているのだとわかって、納得がいく。


「じゃあ、私が生き方を変えるのは難しいって言った時に、景臣先輩がくれた言葉は?」

「変わる勇気さえあれば、いつだって自分が望むモノになれるのにってヤツか」

「はい……」


両親の望む生き方しかできないと決めつける私に、景臣先輩が言ってくれた言葉だった。

でも、この後に景臣先輩は自嘲的に笑って言ったんだ。