「隼人ーどうかしたの?」


「ん、何でもないよ」


「そう? ならいいんだけど。
あっ、ご飯何食べようか〜。もうお腹ペコペコー!!」



不安な顔をしたかと思うとすぐに笑顔に戻り、もう一方の手でお腹を押さえながら話しをする。


クルクルと表情が変わって、見てて飽きないよな。


自惚れと言われるかもしれない。


俺の一言で、凪咲の表情はよくも悪くも変わっていく。


それだけ愛されてんだなって幸せを感じる。



「何が食べたい?」


「えーっとね、ハンバーグ!!」


「了解。じゃあいつものとこ行くか」


「うんっ!!」




それから俺たちは、二人でよく行くお店へと向かっていった。


途中、他愛のない話をしながら楽しく歩いていた。



言えなかった……。


海外転勤のこと。


最初は言おうとした。


だけど……。俺の中ではっきりしない気持ちのまま伝えても、凪咲を困らせて泣かせてしまう。


そう思ってしまったから。