近くの公園のベンチに私と松島さんは並んで座った。
彼が買ってくれた温かい缶コーヒーを片手に、私はぽつりぽつりとマンションでの出来事を語った。松島さんは驚きの表情で、それを聞いていた。
「それはれっきとした犯罪行為だよね。すぐに警察に行かないと。鈴ノ木は?奥さんがこんな怖い目にあってるときに、なにやってるんだよ、あいつは」
穏やかな松島さんらしくもなく、最後にちっと舌打ちをした。
「あ……えっと、忙しいのか、電話繋がらなくて……」
光一さんがいま誰といるのか、それを松島さんにそのまま話すのはためらわれた。
「そっか。じゃあ、とりあえず俺が付きそうから、警察に行っとこうか。早い方が絶対いいと思うしさ」
「はい。そうですよね」
「その後は鈴ノ木と連絡つくまでは、どっかお店の中とか人のいるところにいよう。不安だったら、俺も一緒にいるし」
「いやいや、そこまでご迷惑は……」
私は胸の前で手を振った。すでに迷惑かけまくりなのに、これ以上甘えるわけにはいかない。そもそも、光一さんと連絡がつかないのではなく、連絡を取りたくないだけなのだ。
「困ったときはお互い様だよ!それに白川さんは、親友の奥さんだし。あいつは俺のこと親友とは思ってくれてなさそうだけどな」
松島さんは明るく笑った。気を遣って、あえて明るく振る舞ってくれているのだろう。
(ほんとに、どこまでもいい人だなぁ)
一本だけ仕事の電話といって、その場を離れた彼の姿を眺めながら、私は思った。
(松島さんの奥さんになる人は、きっと幸せになれるだろうな)
彼が買ってくれた温かい缶コーヒーを片手に、私はぽつりぽつりとマンションでの出来事を語った。松島さんは驚きの表情で、それを聞いていた。
「それはれっきとした犯罪行為だよね。すぐに警察に行かないと。鈴ノ木は?奥さんがこんな怖い目にあってるときに、なにやってるんだよ、あいつは」
穏やかな松島さんらしくもなく、最後にちっと舌打ちをした。
「あ……えっと、忙しいのか、電話繋がらなくて……」
光一さんがいま誰といるのか、それを松島さんにそのまま話すのはためらわれた。
「そっか。じゃあ、とりあえず俺が付きそうから、警察に行っとこうか。早い方が絶対いいと思うしさ」
「はい。そうですよね」
「その後は鈴ノ木と連絡つくまでは、どっかお店の中とか人のいるところにいよう。不安だったら、俺も一緒にいるし」
「いやいや、そこまでご迷惑は……」
私は胸の前で手を振った。すでに迷惑かけまくりなのに、これ以上甘えるわけにはいかない。そもそも、光一さんと連絡がつかないのではなく、連絡を取りたくないだけなのだ。
「困ったときはお互い様だよ!それに白川さんは、親友の奥さんだし。あいつは俺のこと親友とは思ってくれてなさそうだけどな」
松島さんは明るく笑った。気を遣って、あえて明るく振る舞ってくれているのだろう。
(ほんとに、どこまでもいい人だなぁ)
一本だけ仕事の電話といって、その場を離れた彼の姿を眺めながら、私は思った。
(松島さんの奥さんになる人は、きっと幸せになれるだろうな)



