どのくらいの時間、歩いただろう。十分?一時間?
ありとあらゆる感覚が麻痺したようで、それすらわからなかった。
マンションに帰るのは怖くて無理だけど、外で一晩過ごすわけにもいかない。私は途方に暮れていた。
そんな時、スカートのポケットの中でスマホが振動した。取り出して、見れば、光一さんからの着信だった。
(出て、なにを話せばいいの?)
私はそっと着信拒否のボタンを押した。それでも、光一さんが自分を見捨てていないことに、どこかほっとしてもいた。
「ーい!おーい! あっ、やっぱり」突然、背中にかけられた明るい声に、私は振り向く。松島さんだった。
目の前でにこにこと笑っている彼は、暗闇に差した一筋の光のように見えた。
神様、仏様、松島様。なんだかよくわからないフレーズが頭に浮かぶ。
「どうしたの?あの後、家に帰るって言ってなかったっけ?」
松島さんは、自分のほうはたまった仕事をようやく終えて、会社を出たところだったと言った。
「ま、松島さん……」
不安と疲れがピークに達していたところで、知り合いに会えた安堵感だろうか。ふっと気が緩んてしまい、涙があふれてきた。
「ど、どうしたの?なんかあった?」
気遣わしげな優しい声に、緩んでいた緊張の糸がとうとうぷつんと切れてしまった。私はふらふらと、その場にへたりこんだ。
ありとあらゆる感覚が麻痺したようで、それすらわからなかった。
マンションに帰るのは怖くて無理だけど、外で一晩過ごすわけにもいかない。私は途方に暮れていた。
そんな時、スカートのポケットの中でスマホが振動した。取り出して、見れば、光一さんからの着信だった。
(出て、なにを話せばいいの?)
私はそっと着信拒否のボタンを押した。それでも、光一さんが自分を見捨てていないことに、どこかほっとしてもいた。
「ーい!おーい! あっ、やっぱり」突然、背中にかけられた明るい声に、私は振り向く。松島さんだった。
目の前でにこにこと笑っている彼は、暗闇に差した一筋の光のように見えた。
神様、仏様、松島様。なんだかよくわからないフレーズが頭に浮かぶ。
「どうしたの?あの後、家に帰るって言ってなかったっけ?」
松島さんは、自分のほうはたまった仕事をようやく終えて、会社を出たところだったと言った。
「ま、松島さん……」
不安と疲れがピークに達していたところで、知り合いに会えた安堵感だろうか。ふっと気が緩んてしまい、涙があふれてきた。
「ど、どうしたの?なんかあった?」
気遣わしげな優しい声に、緩んでいた緊張の糸がとうとうぷつんと切れてしまった。私はふらふらと、その場にへたりこんだ。



