バタンと部屋の扉を閉めると、だらしないことに敷きっぱなしにしていたお布団に頭からダイブする。
ーーだ、だめだ。色々とついていけない‥‥。なにより、光一さんのキャラが崩壊し過ぎてて、どう接していいかわからない!
「うぅ〜。あんな性悪男だったとは思ってもいなかった。完全無欠のヒーローだった私の旦那様を返してよー!」
足をジタバタさせながら、布団の上を転げ回った。優しかった光一さん、ついさっきの意地悪な彼‥‥私の頭の中で、ふたりの光一さんが攻防戦を繰り広げる。インパクトの強さ故か、ホワイト光一さんはどんどん隅に追いやられ、ブラック光一さんが出ばってくる。
冷たい眼差し、嫌味な口調、底意地の悪い微笑み。
「うん、最低最悪! やっぱり離婚一択!」
私は勢いよく立ち上がると、ノートパソコンやら文庫本やらが積み上げてある机の引き出しから通帳を取り出した。
預金残高 1,050,000円
「105万‥‥アラサー女子としては、ちょっと‥‥いや、かなり少ない‥‥かな」
今後ずっと独身で生きていくとなると、心許ない額だ。弟夫婦と二世帯住宅になった実家には帰れないし、給料が大幅にあがる見込みもない。
「もしかして、離婚したら貧困まっしぐら?」
再婚を目指すにしても、バツイチアラサー女の需要はどんなものだろうか。光一さんとの一件で、私の人を見る目が怪しいことはわかってしまった。奇跡的に見つかった相手に借金やDV癖があったら? 想像するだけでぞっとして、思わず身震いしてしまう。
それだったら、光一さんと仮面夫婦をやっていく方がずっとマシなんじゃ‥‥。とりあえず衣食住には困らないし。って、それは無理なんだった!あんな性悪人間とは暮らしていけない!でも、この貯金残高じゃ‥‥。通帳片手に、私の思考は無限ループを続けていた。ため息しか出てこない。
ーーだ、だめだ。色々とついていけない‥‥。なにより、光一さんのキャラが崩壊し過ぎてて、どう接していいかわからない!
「うぅ〜。あんな性悪男だったとは思ってもいなかった。完全無欠のヒーローだった私の旦那様を返してよー!」
足をジタバタさせながら、布団の上を転げ回った。優しかった光一さん、ついさっきの意地悪な彼‥‥私の頭の中で、ふたりの光一さんが攻防戦を繰り広げる。インパクトの強さ故か、ホワイト光一さんはどんどん隅に追いやられ、ブラック光一さんが出ばってくる。
冷たい眼差し、嫌味な口調、底意地の悪い微笑み。
「うん、最低最悪! やっぱり離婚一択!」
私は勢いよく立ち上がると、ノートパソコンやら文庫本やらが積み上げてある机の引き出しから通帳を取り出した。
預金残高 1,050,000円
「105万‥‥アラサー女子としては、ちょっと‥‥いや、かなり少ない‥‥かな」
今後ずっと独身で生きていくとなると、心許ない額だ。弟夫婦と二世帯住宅になった実家には帰れないし、給料が大幅にあがる見込みもない。
「もしかして、離婚したら貧困まっしぐら?」
再婚を目指すにしても、バツイチアラサー女の需要はどんなものだろうか。光一さんとの一件で、私の人を見る目が怪しいことはわかってしまった。奇跡的に見つかった相手に借金やDV癖があったら? 想像するだけでぞっとして、思わず身震いしてしまう。
それだったら、光一さんと仮面夫婦をやっていく方がずっとマシなんじゃ‥‥。とりあえず衣食住には困らないし。って、それは無理なんだった!あんな性悪人間とは暮らしていけない!でも、この貯金残高じゃ‥‥。通帳片手に、私の思考は無限ループを続けていた。ため息しか出てこない。



