「呼吸器!」
エレベーターを降りると、再び、悪夢がよみがえった。
耳をつんざいた、その声に。
「姫宮院長をお呼びして!」
バタバタと、人が駆ける音。
(まさか……)
恐怖で身がすくんだ。
沙耶が死んだときは、自分も死ぬ気がする。
(沙耶を喪えば、俺は……)
目の前が、真っ暗になった。
異変が起きたのが、沙耶だと確認する必要はなかった。
でも、直感でわかった。
5月8日。
この日に沙耶が死ぬのなら。
俺はやっぱり……
『うちにはるくんを返して、っ、返しなさいっ!』
殴られ続けた、頬が、お腹が、痛む。
『このっ、そんな目でうちをみらんといて!』
心臓の、音が、聞こえる。
『うちが悪いんよ!やからって……そんな、責めんでや!』
声が、聞こえる。
「……相馬?」
闇に引きずり込まれる。
ダメだとわかっているのに。
抗えない。


