その言葉の意味を理解するのには時間が必要で。


おもわず空いた口が塞がらない。


昇爛に入らないか…その言葉が頭の中でグルグル回っている。


「ちょっと待って!?…私、あんた達のこと全然信用してないし!しかも、数時間前に会ったばっかの族に入れるわけ…」


混乱しつつ、そこまで言いかけたとき。


「あーまた蓮の変な癖が始まった…。」


ソファーに座ってスマホをいじっていた宮本 麗が顔を上げ、呆れたように言った。


「ごめんね、うちのあほの総長さん…自分が面白いと思った人、すぐに族に入れたがるんだよね…。えーと…名前は?」


苦笑しながらその癖を説明した宮本 麗。


名前を聞かれて、しぶしぶ名乗る。


「篠原…菜緒。」


「菜緒かぁ…私は麗って呼んで!」


麗はソファーから立ち上がって、ガシッと私の手を掴んでそう言った。


…地味に痛い…。


「篠原 菜緒。昇爛に入らないか?」


再びかけられたその言葉。


私は…どうしたい。


不意にあの日ついた心の傷がじくじく痛みだした。