春色のletter


「お、夜梨ちゃん、いらっしゃい」


「こんばんわ」


星影(せいえい)さんに勧められて、空いているカウンターに座った。


小さな店内を軽く見回すと、テーブル席に二組のカップルだけだった。


「こんな時間に珍しいね」


確かに時計を見るとまだ8時だった。


「まあ、たまには」


「そ。で、何にする?」


「じゃあ、おまかせで」


「ふう~ん、OK~」


彼は私の雰囲気を見定めるように顎に手を当てると、棚からいくつかの瓶を取り出して作り始めた。