春色のletter

吉祥寺駅を降りて、やっぱり喧噪の中を抜けて、善福寺公園への路に入ると、その静けさにやっと落ち着いた。


賑やかな喧噪も普通ならいいけど、今日は何となく追い回されたような気持ちになっていた。


そこからはゆっくりと歩いた。


路地に曲がると武蔵野館が見えた。


さらにホッとした。


そのまま誰にも会わずに自分の部屋に入った。


ドアを閉めると胸に手を当てて小さく深呼吸をした。


バッグをテーブルの上に置くと、ソファに沈み込んだ。


しばらくそのまま窓の外を眺めていたけど、バッグに手を伸ばすと手紙を取り出した。


さっきまでいた、その住所を見つめた。