春色のletter

私はまた猫の揺れるしっぽを見つめていたが、彼は急に振り向いて立ち上がった。


「どうしたの?」


猫はゆっくり歩き始めると、隣の部屋の障子をカリカリとした。


「あ、こっちに行きたいの?」


私はどうしようかと思ったけど、少し隙間を空けてやった。


その隙間から、独特の香りが漂ってきた。


中を覗こうとすると、猫が身体をこすりつけて隙間を広げた。


そこは仏間のようだった。