春色のletter

「そっか…あいつそんなことになってたんだ」


「まあ、それでさつきさんが何か知らないかなと、来てみたんです」


「わざわざ?電話してくれればいいのに」


「だって、もうここの電話番号覚えてなかったから…」


「あ、そっか…もう、10年?」


「ええ」


「そっかぁ…」


さつきさんは、語尾を消しながら縁側の猫の揺れるしっぽを見つめた。