しばらく耳を澄ませていると、誰かが出てくる音がした。 女性の足音。 「はあーい!」 さつきさんの声だった。 ガチャ。 「どなた?」 開いたドアから元気なさつきさんが顔を出した。 彼女は私を見ると、その笑顔が見覚えのない来訪者を見定めるような表情になった。 「…夜梨子、ちゃん?」 「はい。お久しぶりです」 私は頭を下げた。