春色のletter

翌日、朝一番で佐伯さんに資料を見せた。


「…なるほど」


ミーティングルームで向き合っていたが、彼は笑顔を見せた。


「よく一人でCIをデザインできるようになったな」


「一人でやる方が統一感が出せる時がありますから」


「いや、そういう意味じゃない」


「え?」


「諏訪山ワインの個性、そして将来性をよく見据えたな。これなら、今後の広告代理店が入ってからの広告戦略も統一感が出るだろう」


彼は資料をそっとテーブルに置いた。


「はい。『そこに存在するコト』をつかめたと思います」


「そうだな。CIでは一番大事な事だ」


佐伯さんは笑顔で頷いた。


そして、それを真顔に変えていった。


「後は、諏訪山社長へのアポだな…」


「はい」


私は笑顔で答えた。


「ん?」


「何とかなりますよ。何でも」


「は!言うねぇ」


佐伯さんが呆れたように笑った。


「でも、今のおまえなら大丈夫な気がするよ」


「はい。任せてください」


「おう」


佐伯さんが手を握って突き出したので、私もそれに拳を合わせた。