諏訪山ワインは現社長が起こした会社だけど、その前に実家が諏訪山酒造というこの葡萄の産地で初期にワインを始めた会社だったらしい。
でも、現社長の親の代に倒産してしまったのだ。
本田さんは、その時まで諏訪山酒造で働いていたが、倒産と同時に職を失った。
それ以降特に何をするでもなくくすぶっているところを、現社長が諏訪山ワインを興す時に呼び戻したのだ。
それからの、苦労話をいろいろと聞いたり、資料を見せてもらった。
品質の良いモノを作ろうと葡萄の育成段階から関わり、試行錯誤の連続だったらしい。
確かに、ワインはそういうモノなのだろう。
それはそれでいろいろと参考になったが、まだ、何かこの会社の事を理解していない気がした。
ふと、あの守衛さんの事が思い出された。
彼は、何か自慢げだった。
ここで働くことに意義を見つけている……そんな気がした。


