春色のletter

「あの…」


「あ、いや…じゃあ、後は資料室にどうぞ。もっといろいろこの会社についてお話ししますよ」


「はい」


私は、すぐに背を向けた彼に付いていった。


茶色の建物に続いた奥の建物まで歩いて行ったその資料室は、公開用の場所ではなかった。


「どうぞ」


促されて中へ入ると、その棚の感じとか、少し古めかしいイメージを感じた。


応接セットに座ると、工場長自らお茶を入れてくれた。


「さ、どうぞ」


「すみません。いただきます」


お茶でさっきのワインの余韻を流すと、工場長は、諏訪山ワインの生い立ちを話してくれた。