春色のletter

「お待たせしました」


その声に、立ち上がると、作業着の様なモノを着た50代後半と思われる白髪の男性が帽子を脱いだ。


「工場長の本田です」


「アトランティックデザインの竹村と言います」


「本社の諏訪山からうかがいました。よく来られました」


「いえ、急に訪ねてしまって申し訳ありません」


「いやいや。最近はほとんど機械任せで、私のようなロートルには出番がありませんから」


「いえ、そんな」


本田さんは軽く微笑むと姿勢を正した。


「じゃあ、まずは通常の見学コースを見ていただきましょうか」


「はい」


私は少し恰幅の良いその感じの良い工場長に付いていった。


「いってらっしゃいませ」


後ろで受付嬢が丁寧なお辞儀をしていた。


(そういう会社なんだ)


社員の教育の高さに、その製品の品質の良さも感じた。