春色のletter

「おはようございます」


「あ、おはようございます。工場の方へご用でしょうか?」


気の良さそうな30代の守衛さんが笑顔で答えた。


「私、アトランティックデザインの竹村と言いますが、工場長の本田さんにお会いしたいのですが」


「ああ、聞いていますよ。ちょっと待ってくださいね」


守衛さんは内線電話を取ると、どこかへ架けた。


「もしもし、ゲートの三木ですが、例のアトランティックデザインの方が見えられていますが……はい……はい、わかりましたぁ」


彼は電話を置くと、またにっこりとして窓から上半身を乗り出した。


「ほら、あっちの茶色い建物があるでしょう。あちらでお待ちいただくようにと、工場長が言ってました」


「はい、わかりました。ありがとうございます」


「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします」


「え?」


その台詞に振り返った。