それから、しばらく経って、私と佐伯さんは、手摺りの下に並んで腰掛けていた。 佐伯さんは落ち着きを取り戻していた。 「悪いな…夜梨」 「いえ」 「おかげでやっと楽になれた」 「私、少しは佐伯さんに返せました?」 「ああ」 佐伯さんは、軽く微笑んだ。 「でも、何で今…」 佐伯さんは、メガネをかけ直して私を見た。 「美沙が助かって、後は、このことだけが俺の心の棘だったから」 「そっか…」 私は、抱えていた膝を抱え直して、顎を載せた。