春色のletter

「今、ちょっと手術後の処置をしていますから、もう少しお待ちくださいね」


先生はそう言うとまた手術室へ戻っていった。


佐伯さんがゆっくり後ずさると、ベンチにぺたんと座り込んだ。


沙也さんはその場に崩れかけたので、私が支えてベンチに座らせた。


佐伯さん達にとっては、密かに彼らを苦しめ続けただろう呪縛からの解放だった。


今、この瞬間が、どれだけ幸せなことだったろう。


私自身、無限に待ち続けるような時間に壊れかけた希望が、現実となって、これ以上ないくらい、ホッとしていた。