「今日は何にする?」 目の前に、コースターとおしぼりを置きながら星影さんが聞いた。 さっきの表情を見たはずだけど、それには触れなかった。 「えっと、お任せで」 「…OK」 彼は軽く微笑むと、何かを用意し始めた。 出されたのを見て、私はきょとんとした。 「えっと、これ…」 「そう。ビール」 確かに汗をかいた細長いグラスに注がれているのは、きめ細やかな泡で蓋をされたビールだった。