春色のletter

この画集は、同じ風景でも、街をモチーフに描かれていた。


「下北?」


「ええ。ハルさん、そう言ってました」


「やっぱり…」


見覚えのある風景が、ハルの色彩に彩られて、そこにあった。


「それも自費出版って言ってましたよ」


「え?そうなの?」


「ええ。夜梨子さんのとこにあったのもこれも、200部だったかな?」


「200部なんだ…」


「それでもだいぶかかるみたいですよ」


「そうだよね。印刷をケチってないもん」


これも、しばらく借りるだけ。


その200部のうちの1冊ずつをなんとか手に入れたいと思った。


ハルに頼めばすぐに送ってくれるんだろうけど、そうじゃなく、今、街にあるのを手に入れたかった。


神田の古本屋街にでも行ってみようかと思ったが、そこにあって欲しくもなかった。


一度買った人は、ずっとそれを持っていて欲しいと思ったのだ。