「夜梨子」 掴んだけど、何を言っていいかわからなかった。 「その辺ちょっと回ってみようか」 「うん」 私はうなずいた。 ハルは適当に走っていたが、海浜公園という案内板を見つけると、そこを曲がった。 「へえ~、いいとこじゃん」 ちょっとした松林を抜けると、目の前には海が広がっていた。 波は静かに打ち寄せている。 人気のない浜辺で、二人で、しばらく海を見つめていた。 これで会えない訳じゃないのに、すごく悲壮感を感じていた。