キミが可愛いわけがない



「まぁ、いいよ。300円はそなたにやる。その代わり…」


「なんだよ」


「学校で私に極力話しかけないで!」


人見知りで友達のいない芽郁にそんなこと言うのが酷なことだって充分わかってる。



だけど、せっかく高校に入って女友達が何人かできたし、私のことを慕ってくれる後輩だってできた。


そう言うのを、壊して欲しくない。



「いつもは話しかけてねーじゃん。朝はお前から話かけてきたろ。お菓子自慢するために」


芽郁はそう言って、ベッドに倒れるように横になる。


出た…芽郁は不都合なことがあるとこうやってすぐに拗ねる。


まぁ、朝のあれはその通りただ自慢したいがために話しかけちゃったけど…。


廊下に人もいなかったし。


「私が言ってるのは、あんな大勢、芽郁のファンがいる前で話しかけないでってこと」


人気者の芽郁と一緒にいたら、女の子たちは私のことを嫌いになるに決まってるから。



「だからー、今日のあれは緊急事態だったからしょうがねーじゃん」