キミが可愛いわけがない



「やっぱり楠木くん、余裕なんじゃん」


「は……」


「河西さんは自分のとこから離れないとか2人の関係は永遠だとか、やっぱりかっこいいから自信があるのかな?」


「なに言って…」


ムカつくのはこっちの方だ。
なんなんだよいきなり。


初めて話しかけてきた時からだけど、その話し方とか目つきとか、俺と喧嘩したいのか?


「普通なら、誰にも渡したくないと思ったら、焦るよ?必死になるよ?楠木くんのその余裕ぶった態度が本当、気に食わないの私」


「…余裕なんか」


「あるよ。だから告白しないんだよ」


違う。
違う。
違う。
こいつは何にもわかってない。


「俺らのこと何にも知らないのに口出しすんなよ。初めて話した時からそうだよな。大きなお世話だよ」


俺は、彼女から手を離してから懐中電灯を持って先を歩く。