キミが可愛いわけがない






「楠木くんのせいだよ」


「ごめん」


「なんであんな言い方するかな?」


隣を歩く若松はただいまご立腹中。


「うん。ごめん」


「『私と回りたい』なんて。みんな勘違いするよ?」


本当にあれは間違ったと反省している。

だけど、あんなにたくさんの人が見てるところで発言するなんて、軽くパニックになって思うように話せなくなるわけで…。


ユズがいればもう少しマシなんだけど…。


「あーあ。私また女の子たちに嫌われちゃうよ」


「……」


若松が女子から嫌われてるというのは、俺から見れば女子たちの嫉妬のようにしか見えない。


まぁまぁ整った顔つきで、男が喜ぶ仕草や表情をわかってる。


男に媚びを売っているとかぶりっ子してるとか、男だってそんなことわかっているけど、それでも可愛いからちやほやしたいんだ。


若松とユズは正反対な性格だけど、普通の女子とは少し違うという面ではなんだか似ていると思う。