キミが可愛いわけがない



「でも…河西さんに取られちゃうかも」


「はぁ?」


「フフッ、楠木くんって河西さんのことになると目が怖いよ。冗談なのに」


あ。思わず大きな反応になってしまったのに気付いて恥ずかしくなる。


「なんだよその冗談。面白くない」


「…それくらい、好きなんだね」


っ!!!


俺がずっと心のうちに秘めていた言葉。

認めたくなかった言葉。


それを、今日初めてしゃべった他人の彼女の口から言われてしまった。



「2人、幼なじみ…なんだよね」


なんで俺の気持ちがこいつにバレたんだろう。
話したことも顔をちゃんと見たこともなかった人間に。


そんなにわかりやすのか?俺。



「まぁ。あのさ、なんで俺が、ユズのこと…って気付いたの」



『好き』

やっぱりそのセリフは口に出せないから濁して聞く。