キミが可愛いわけがない




────ガタッ


「ちょ、柚希?!」
「あんた何考えて…」


かよたちの声を無視して席を立つ。


「困ってるの見ててわかんないの?」


気付けば私はそう言って、若松さんの腕を掴む大学生の腕を掴んでいた。


「女子高生に無理やり迫るとか、恥ずかしくないの?」


「はっ、はぁ?なんだよ、お前」


「この子、困ってるの。わかったら早く出て行ってよ」


私があんまり大きな声で(普通のボリュームのつもりだけど他人からはでかいらしい)そう言うので、店内にいる人たちがみんな大学生を見る。



「…チッ、最悪」


大学生は周りの目線を察してそう言うと、逃げるように店内を出て行った。


それから、お客さんたちは安心したようにまた食事やおしゃべりを再開した。


「もう、大丈夫だよ。怖かったね?」


クルッと振り返って、私の背中に隠れていた若松さんにそう言う。



「あ、ありがとうございましたっ!」



そう頭を下げる若松さんは、やっぱりただただ可愛くて、かよたちは彼女のどこをみてそこまで嫌うのかがわからなかった。