キミが可愛いわけがない



「柚希は特にあんなタイプ嫌いっしょ?」


「え…いや、絡んだことないし」


嫌いだなんて勝手に決めつけてもらっても困るって…。


「えー!でもあの雰囲気から分かるでしょ?あ、ほらっ」


かよが「見て」と顎で前を指す。



「あれ、君もしかして、梨央(りおう)学園の…」


若松さんとすれ違った大学生くらいの男の人は、振り返ると慌てて若松さんに声をかけた。

「え…」


「やっぱり!去年、1年のミス代表してたよね?俺学園祭行ったから知ってるんだ」


大学生はそれはそれは嬉しそうに彼女と話している。


「あ、はあ…そうなんですか…ありがとうございます」


若松さんは明らかに困ってる表情になりながら、一方後ろに下がった。


いや、そりゃ知らない人から話しかけられたらそんな反応になるよね。


「連絡先とか交換できたりしない?」


大学生チャラい!


「えっと…その…」


もじもじと口ごもる若松さん。

そんな彼女を見て大学生は頬を赤らめる。

可愛いもんな…。


「何あれ〜?こういうの慣れてませんアピールかよ」


「仕草があざとすぎるんだよね」


かよたちは口々に好き勝手言う。

いやいやいやどう見ても困ってるじゃんか!


「連絡先はちょっと…」


若松さんはそう言って歩き出そうとしたけど、大学生がトレイを持つ若松さんの手を捕まえて止めた。


「じゃあ一緒に座っていい?君と話したい」


「…あの、えっと…無理です」


「なんで?可愛いからしゃべりたいな〜って言ってるだけじゃ…」


「離してくだ─────」