「忘れさせることはできない。だけど…私の方が、有馬くんを好きで、たくさんたくさん今までの嫌なこととか塗りつぶす勢いで有馬くんの新しい思い出を作っていきたいって思ってる!」


目で追いかけるたびに

笑い声が聞こえるたびに

この胸が鳴るのをずっと感じてきた。


「ミスちゃんみたいに可愛い子、俺よりもっといいやつがいるんじゃない?こんなやつ好きになっちゃダメだよ」


そんなこと少しも思ってないくせに。
可愛いとか、少しも…。


名前だって…覚えてもらえていない。


ユズちゃんが羨ましいよ。


ムカつくよ。


ユズちゃんに…なりたいよ。



「好きになっちゃダメとか…そういうの違うことくらいわかってるよね」


ちやほやされるミスコンも

真っ白なドレスも

派手なメイクも

あなたに可愛いと思ってもらえないと意味がない。


「…咲菜だもん」


小さくそう声を漏らした。


泣きそうだ。


やっと言えたのは、全然理想的じゃなくて、どちらかというと嫌われそうで。


完全に終わった。