「ふーん。だから心配してわざわざ迎えに?」
「うん」
ユズちゃんには、優しいのに。
ユズちゃんのことは、すごく見てるのに。
私とは全然目を合わせてくれないし、興味なさそう。
「あの2人、付き合うことになったみたい。まぁユズちゃんは、付き合うって何するかよくわかんないみたいだけど、でもこの間楠木くんがキスしたみたいだし…」
私は、彼に近づきながらさっきまで鍵盤を叩いていた彼の手に触れる。
嫌われているよりも傷つく。
『お前に興味はない』っていう目。
「だから何?柚希のことはさっさと忘れればって?」
「自分に興味ないってわかってて惹かれる理由が分からないよ」
「その言葉、そっくりそのまま返すけど」
彼はそういって、私の手を振りほどいた。