キミが可愛いわけがない



「何その格好─────」


玄関のドアを開けると、そこには待ちくたびれて若干イライラしている若松の姿があった。


そして─────。


純白のドレスに、クルクルとゆるく巻かれた髪に、いつもとは違う明るい化粧。


なんだこれ。


「仕方ないの!今年も代表になっちゃったんだもん」


「代表?」


「あぁそっか。成績学年トップの楠木くんはこういうのに疎いんだっけ?しかも、去年一年代表で選ばれたのに辞退したんだもんね!」


「ごめん。話が全然見えない。起きたばっかで」


「あー!久しぶりにイライラするっ!ミスコンだよ!」


「あぁ…」


「あぁって…こんな話いいから!早く行くよ!」


「え、ちょ、行くってどこに」


突然、若松に手を掴まれて俺は転びそうになりながら必死に歩く。


だから、起きたばっかなんだって。


確か今日は日曜日。


1日中、ベッドに寝転んでダラダラしていた俺は、外が薄暗くなるまで寝ていたみたいだ。