「それはできないよ」


「なんでだよ」


なんでだっけ。
確か私は、女の子たちの目が怖くて誰とも付き合わないと決めた。


でも、この間布施くんには、自分の行動が例え相手が気に入らない行動だとしてもそれがいじめていい理由にはならないってちゃんと説明できていた。


私がもし男の子と付き合ったって、ほかの子たちは関係ない。


そしたら、私が有馬を拒む理由なんて──。


あの日のキス。


本当は──────。


芽郁の顔が見えた時。


『嬉しい』って


一瞬でも思っちゃったんだよ。


「まだ、この気持ちがなんなのか知らないけど、多分、私は有馬の気持ちに答えられない」


「…それでも」


「有馬のこと、好きにはならないよ」


どうしてだろう。
喉の奥が痛い。


有馬を振るのはいつもやってたこと。


それなのに。


今日はすごく、つらい。