「そうじゃないじゃん。無理やりだけど、けど来てみたら実際、楽しかったし。だからその…私だけいい思いするみたいなのは嫌っていうか、」
「……っ、」
有馬が驚いた表情で私のことを見ている。
「なに」
「柚希…、今日楽しかった?」
「だから、そうだっていってんじゃん。ちゃんと気分転換にもなったから」
「そっか…ハハッ」
「何よ気持ち悪い」
今日の有馬はいつもより増して顔が忙しい。
「いいよ。お金とかじゃないから。柚希が楽しかったって言ってくれただけで、俺にとっては十分だよ」
「そういうもん?」
「そういうもん。俺も最近知ったけど」
「なにそれ」
私はそういって、カフェオレを一口飲む。
「今までは、俺がやってあげた分見返りみたいなのを女の子たちに求めてた」
「見返り…」
「いや、だから…俺もやってあげたんだから、満足させてよ的な」
ん?なにそれ。
「あぁ、いい。柚希は分からなくていいよ。そういうのすげぇ鈍感そうだし」
「なんかバカにしてるでしょ」
「してないよ!」



