「謝らないで。そんなすぐに素直に白状しちゃうと逆に心配よ。ちょっとは飲み込んだら?まぁ嘘つけないところか芽郁くんのいいところだけどね」
「へ…」
目が点になる。
怒られると思ったのに、おばさんは全然怒らない。怒られるどころか、嬉しそうだ。
「あの、怒らないんですか?」
「えーなんで怒るわけ?あ、冷めちゃうから早く食べて、ほらほらほら!」
おばさんはそう言って俺にスプーンを持たせた。
俺は言われるがまま、「いただきます」と言って一口カレーを入れた。
うまい。
甘口と中辛が混ざった河西家のカレーの味。
昔から大好きな味。
思わずニヤけそうな顔を我慢して、またカレーを口の中に入れる。
うまい。



