「この間、柚希の看病ありがとうね」


「っ、いや…」


ダイニングテーブルの椅子に座る。


小さい頃、よくご飯をごちそうになってた時に俺がよく座っていた席。


ユズの隣の席。


あの頃から、家具の位置もなにもかも変わらない感じはやっぱりホッとして嬉しい。


そういや、ユズの看病するってキッチンを何度も往復したっけ。


もう随分昔のことみたいだ。

あんなに一緒にいたのに。

数週間話していない今は、それが全部壊れそうで怖い。

このまま、崩れてしまいそうで。

どうしていいのかもわからない。


「柚希、最近元気ないの」


「えっ」


パッと顔を上げると、温めたカレーを運んだおばさんが、なんだか嬉しそうに微笑んでいた。