「今日、柚希いなくて、お父さんも会社の人とゴルフだって言うから私一人で寂しかったの!だから是非!」
「えっ、」
ユズ、いないのか?
一体どこに──────。
「柚希ねぇ、お友達とお出かけなんですって」
「は、はぁ」
友達?
若松とは最近絡んでなさそうだし、クラスメイトか?
「柚希から何も聞いてない?」
「あ、はい…」
何も聞いていない。
その言葉がズキッと胸に刺さる。
俺は何も聞いてないし、
そもそも聞く資格なんてないのかもしれない。
「ほら、立ち話もあれだし、芽郁くん中に入っておいで!」
おばさんはそう言って俺に手招きすると、家の中に入っていった。



