(side 芽郁)


土曜日─────。


昼前に目が覚めた俺は、ベッドから起き上がると、ふと窓の外に目をやる。


ユズの部屋。


この間、久しぶりに入ることができてすごく嬉しくて、けど嬉しかった日に喧嘩しちゃうんだもんな。


俺、ホント終わってる。


ユズ、起きてんのかな。


何してんのかな。


今、どんな顔してんだろう。


誰のこと考えているんだろう。


喧嘩したあの日から、俺の頭はユズでいっぱいだ。


いや、正確には隣にユズかいるようになってからずっと、俺はユズのことしか考えていない。


若松のことが好きなんだ、って勘違いされた瞬間に、ちゃんと誤解を解けばよかったのに。


意地と、本当のことを言ったらと思う恐怖とで。


あんな言葉を投げつけたことを後悔している。


もう、前みたいに話せないかもしれない。


2週間もろくに口を聞いていないなんて。


正直死にそうだ。


学校ですれ違うことだって、本当1、2回で。


放課後、ユズが俺の部屋に来てくれたあの時間がいかに大事なことだったのかを思い知らされた。