「やめてよ!キモい!あんまり酷いとまじで帰るから!」
私は勢いよく有馬から体を離す。
「あーごめんごめん。怒んないでよ。本当のこと言っただけだよ?」
なにがそそるよ。
こいつ、女なら何着ててもいいんだろ?
黒のスキニーに、クリーム色のゆるめのニット。
おしゃれに疎くて興味のない私のこのあまりにもシンプルすぎる格好に、男がそそられる要素なんて1つもない。
「ほら、さっさと行くよ」
両手を合わせて謝るポーズをしていた有馬を置いて、私はそう言いながらスタスタと歩く。
「うん。絶対楽しい思い出にさせるから」
有馬はドヤ顔でそういうと、私の横を嬉しそうな笑みを浮かべて歩いた。



