キミが可愛いわけがない



「そう言うのは共有する決まりじゃん」


「はぁー?そんな決まりねーし!」


パチンッ


っ?!


「…いって!」



口が悪いし乱暴。
ユズは今、俺に全力でデコピンした。



可愛いの欠片もねー。



「俺がもらったチョコもお前がもらうチョコも協力して食べるじゃん」


「バレンタインデーだけね」


「……」


「拗ねんなよ〜!今の芽郁は昔みたいにクリクリおめめの芽郁ちゃんじゃないから、拗ねたって可愛くないぞ」


「黙れ」


実に幼稚な俺は、あまり言葉が出てこない。
ユズは自立しようと一歩一歩確実に歩いている。


だけど俺は、なかなか行動することができなくて…都合が悪くなるとこうやって拗ねてしまうのもユズのいう通り図星でなにも言い返せない。