キミが可愛いわけがない

(side 芽郁)


昔から、なんだかんだユズの方が大人だった。


俺はいつもそんなユズの背中に隠れて、彼女に守ってもらってた。


「もう小学生じゃないんだもん。友達作る努力くらいしなー?友達が女1人って異常だよ」


ベッドにもたれてそう言うユズは、テーブルに置かれたせんべいをバリッと豪快な音をならしながら口に入れた。



「はー?お前のどこが女だよ」


せんべいを食べるユズの背中に向かってそう言う。



お前が女だなんて、笑わせるなよ。


大食いで、背が高いユズに女要素は一切ない。多分。


「どー見ても女だよ。だって体育 別じゃん」


やっぱりユズはバカだ。
そんなものだけで性別を判断しているなんて。



俺は彼女の首に目をやる。


短く切られたショートボブの下にある細く白い首。


わかってるけど、全然男の首ではない。